友達になりたいマイク。


  そのマイクは、中におかしが詰まっていて、
独りの男の子のおもちゃだった。

男の子はいつも、うたを歌っていて、
いつも、ボールを持った友達に笑われていて。

そのマイクは、男の子が大好きだった。

今日も男の子は歌っていた。
そして今日もマイクは思った。

自分が機械だったらよかったのに。

自分はこの男の子がうたを好きじゃなかったら、
ほかのゴミたちと一緒に捨てられることを知っていた。

今日もマイクで歌っていた男の子は、
マイクを持ったままの手に言った。

歌いたい。

マイクは自分に心がないのを恨み、
マイクはこう思った。

人間になりたい。

マイクは男の子の友達になりたかった。

そして、今日もステージに立った男の子は、
いつも引き出しの奥にある、

おもちゃのマイクを、思い出した。


        このぽえむはゆきさんに。そして、できれば世界中のアナタに。

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